タイトルからして、Record Chinaの提灯記事？
責任転嫁の王様、朝◯新聞の回し者？
あるいは
調子乗りすぎなことが多々ある産◯新聞臭満載か？
と警戒して、興味はあるものの
長らく遠ざかっていた本です。
結論としては、
ネットのニュースだけでは到底理解できない
「中国人の行動の背後にある考え方」
がよく分かる良書でした。
- 平野久美子って誰？
- 何が書いてあるの？
- 一押しする理由！
- 第1章 日本人は中国でほんとうのモテるのか？
- 抗日映画における日本鬼子の華麗なる変遷
- 第2章 ワンランク上のライフスタイルに憧れる
- 第3章 政治から言葉を開放した日本文学
- 第4章 文化侵略か、文化開放か、進撃のサブカルチャー
- 最後に
平野久美子って誰？
産経新聞入社後、上海復旦大学に留学。
香港、北京に駐在後、フリー。
独身。
中国では日本人女性はもてもてで、
アラフォーでも結婚相手引く手あまた
とのこと。
（本書に経験談あり）
何が書いてあるの？
ぶっちゃけ今の中国人（特に80后や90后と言われる30代より下)は
政治に興味はなく、個人的趣味の追求第一。
しかも日本製品やソフトに小さい頃から親しんでいる。
たとえ学校で「日本鬼子」（リーベングイズ）
を教育されているとしても、
今の日本は好き。
日本に来る人たちはそういう人たち。
一押しする理由！
ネットメディアは
領土問題や反日運動で厳しい姿勢を見せる
国家としての中国と、
日本食品の放射能汚染を取り上げたCCTV特番に、在日中国人か... - Record China
2016年には年間637万人が訪日し、
うち６割以上が「必ずまた来たい」と
言うほど日本を楽しんでいる個人の中国人が
ごっちゃに現れます。
2016年の訪日外国人、21.8％増の2403.9万人 過去最高を更新 ：日本経済新聞
５位はアメリカ人！日本を訪れる外国人観光客の国別ランキングと満足度は？ | TABIZINE～人生に旅心を～
中国「国家」と「一個人」としての中国人の考えを分けないと
わたしたちは混乱してしまうのです。
この本では「個人」としての中国人に
徹底的にフォーカス。
かれらの持つ日本人のイメージが
戦中の日本兵
「ミシミシ（飯、飯）」「バカヤロ」
から、
尖閣諸島海域漁船衝突事件をきっかけに
誕生した萌えキャラ
「日本鬼子（ひのもとおにこ）」
まで、
いかに変化を遂げたか、に迫ります。
「そうだったのか、中国人！」の
気付きがあまりにも多い本書。
以下、特に面白かった部分を羅列していきます。
第1章 日本人は中国でほんとうのモテるのか？
p.52
ちなみに中国人女性にとっての男性美というのは、
伝統的には「マッチョ」である。
男らしい、男くさい、
まさに背が高くて腹筋が六つに割れているような、
そういう男性日が女性の憧れとして見られている。
一组黄晓明的性感高清图解救正在春困的宅女们，喷血！ - 帅哥美女 - 倍可亲
（リンク先にもっと写真があります）
身長１８０cmのホアン・シャオミン
そうだったのか、中国人！
そう言えば、知り合いの上海人に
「香港映画好き？」って聞いたら
「香港映画は女々しいから好きではない」
と言われて驚いた記憶が。
ちなみのその上海人も別にマッチョではないんですが。。。
マッチョが好きな中国本土と違って
香港の感覚って、確かにもっとソフトで
ジャニーズや羽生結弦のような
「かわいい男子」を愛でる日本に近いのかも。
日本でも人気の高いトニー・レオンは
『ブエノスアイレス』ではゲイ役もこなしたし。
逆に鍛え上げた筋肉のドニー・イェンが
『イップ・マン』で
功夫服によってマッチョを封印したことも
日本でのヒットに繋がった一因と思えます。
日本語吹き替えもやっぱり素敵なドニーさん
（すみません、このブログの基本スタンスなんで）
p.71
80年代、中国ではちょうど甘いマスクの
「奶油小生（ナイヨウシャオション）」（バターハンサム）
とよばれる朱時茂（ジューシーマオ）、
バター感こってり
「政治的に正しい」朱時茂
唐国強（タンゴチアン）
諸葛孔明がはまり役の唐国強
他にも皇帝や毛沢東など権力者役が十八番だい！
が人気だった。「バターハンサムの代表であった朱時茂は、
堀の深い顔立ちで好感があり、強烈な愛国の情感を漂わせて、
女性が追っかけをする満足感も与え、なおかつ
『政治的正しさ』もある」とされた。
…ウィンドブレーカーの襟を立てた冷峻（クール）な
表情の男。高倉健の出現は
中国人男性の審美基準をひっくり返した。
特に『追捕』は大変な反響だったようですね。
中国で人気となった『追補』の歌の字幕。「ラララ」というだけなのに漢字がすごいことになっている！
『レッド・クリフ』のジョン・ウー監督が福山を起用したリメイク版
高倉健死去のニュースに中国で大変大きな反響を
呼んだ理由がわかった気がします。
日本人として、高倉健のファンとして
（映画全部観たわけではないけど）
嬉しいことでした。
中国人の激しい高倉愛が伝わる
「永遠の高倉健、名作復刻版特集」の予告
しかし、
p.75
かくて、高倉健のおかげで、
日本人男性というのは、
女性を口説くのも下手だし、不器用で口下手だけど、
他人を尊重し礼儀正しく、嘘もつかない誠実な人柄で、
クールでぶっきらぼうに見えてその実、
とてもあったかくて優しい、
といった一つのイメージが出来上がった。
これ、ホントかよ？？
もしこんなふうに考える人がいたとしたら…
バカ？
それって…例えば…
（毎回この話で申し訳ありませんが）
ドニー・イェンの映画を観たわたしが、
香港人男性というのは、
口下手だが、正義感が強くて、1人で10人は倒せる、
と考えることになりませんか？？
バカ？
さて、唐突ですが、
今突然すごくいい『導火線』のMADを発見したので
報告させてください。
音合わせが完璧。終わりの方におちゃらけシーンと入れるのもすごくいいです。
このMADを作成された方は名作『食べるドニーさん』の作者でもあります。
卓越したセンスですね。
p.76
以下本書を参照にした、
抗日映画における日本鬼子の華麗なる変遷
（tokyocabinによるまとめと追加）
1950年代〜60年代
葛存壮（グォツンジョアン）
まさに、極悪非道な鬼子！
「ミシミシ（飯、飯）」「バカヤロ」
youtu.be この人です。
2000年
香川照之
『鬼が来た！』（姜文チアンウェン監督、カンヌグランプリ）
人間的すぎる日本鬼子が問題視されたと言われる。
この映画、観たあと、一週間具合悪くなった記憶があります。
反日映画バージンだった私には強烈過ぎて。
1.jpg)
ドンピシャの動画が探せないのですが、香川の演じる兵隊
花屋子三郎が登場すると時の
妙な歩き方が未だに忘れられません。
2002年〜
矢野浩二
あり得なかった長身ハンサム日本兵。
生真面目な人柄が人気をさせているようです。
（これは高倉健に通じる）
彼の人気が大きなるにつれて日本兵のイメージに
大きな変化が。
仰天南京行進1937。出典がよくわからない。
完全にヘン！だが、
矢野？？（と思われる二枚目日本兵）は
占領した南京で、真剣に阿波おどりみたいなのを踊っている。
ある意味幻想的というか、文化的かも…と思ってしまう。
青年漫画巻頭カラーページ、のノリ。
『鬼が来た！』の日本兵の拠点も似た雰囲気があったな。
黒澤映画の影響？
これ作った人、本当は日本好きと見た。
追記：
上記は問題作『南京！南京！』（2009年）と判明しました。
下記ブログに感謝申し上げます。
ブログを読むと、この映画の予想通りのくだらなさが
よく理解できます。
おっと
２００８年『イップ・マン 序章』の池内博之
を忘れちゃいけないぜ。
本人曰く、深みのある日本人役を目指していたのに、
「不幸な時代でなかったら、お互い良いライバルだったよね」
といった感じを目指していたのに、
（これは日本人役女性との心のつながりシーンを想定していた
ドニーさんも同様だったと思います）
いつのまにか（検閲にたいする過剰防衛反応？by tokyocabin）
コテコテの反日映画に・・・」
（以上、たしか谷脇健二さんの弁）
ドニーさんにシバかれ脳震盪を起こしつつも
頑張った池内くん。
その根性、否プロフェッショナリズムを買われて
今年リリースのジャッキー・チェン主演
『レイルロード・タイガース』にも出演、
なんでも誕生日にジャッキーからケーキで
祝ってもらったそうですね。
こんどの役山口将軍は
「頭脳明晰な悪役だがどこか憎めない存在で、
完全な悪人ではなく、自らの責任を全うしようとする人物
として描かれる」ようです。
良かったね。
イップ・マンでの三浦将軍役は
武術オタクのかなり変人だったから。。。
2009年
黄暁明（ホアン・シャオミン）
『風聲』（陳国富監督）
美しくサディスティックでセクシー
《风声》摄影图__明星偶像_人物图库_摄影图库_昵图网nipic.com
「オス、おれ中国一の美形（現状）ホアン・シャオミン。
抗日映画でサドっぽいお医者さんごっこやる日本人将校を演じて、
賞までもらっちゃいましたー」
武田様…
武田様の歌を聴け！
武田様は実はちゃっかりイップ・マンの弟子でもあった。
ここまでしてくださるなら特段何も申し上げることはございません。
共産党の擦り寄り政策か？
全然反日になってねーよ。
もう一つ、『風聲』などでいまだに、
やたら過去の日本軍の拷問の残酷さを強調する
中国ですが、現実には現共産党政権が
大陸はもとより、一国二制度下の香港でも
民主主義寄りの人など「反体制」とみなす人々を
誘拐（そして”再教育”）しまくっているということを
忘れてはいけない。
第2章 ワンランク上のライフスタイルに憧れる
p.94
岩井俊二的な「小清新（シャオシンチン）」という価値観
中国の若い映画好きの人たちとの雑談で好きな現役の映画監督という話題が出たときに必ず五本の指に入るのが岩井俊二である。とにかく中国人は岩井俊二の『Love Letter』（1995年）がものすごく好きらしい。そしてその部隊が小樽だったことから、北海道も好きである。
不肖私、この映画知りませんでした。
しかし、ドニーさんが
『怒りの鉄拳』で相手役は中山美穂を考えていたとの発言から
ドニーさんはきっと観たんでしょうね。
わたしはむしろ、
この映画による北海道ブームに拍車をかけた
『狙った恋の落し方。」
（馮小剛フォン・シャオガン監督、2008年）
の方が観たいですね。
相手役はスー・チー。
（たしか二人で北海道の露天風呂に入る・・・）
↑というわけではなかったようです。
なんだよ、結局『怒りの鉄拳』と同じじゃん！
ま、いいけど。みんな、スー・チーを狙っているんだな。
「小清新（シャオシンチン）」は、
岩井俊二や村上春樹が好きで、
エコでシンプルで清潔で自然で上質な暮らしを目指す。
スタイル的には森ガールに近い。
都会派小清新に対し、
「殺馬特(スマート)」族は、
田舎から出てきたばかりの若い労働者（農民工）。
日本のビジュアル系バンドに影響を受けた
派手なファッションが特徴だが、
都市民からするとダサい。
p.106
ジャスコが襲われた本当の理由 ＜＜＜これ重要
…2012年の「反日暴動」とも言うべき、
深圳ジャスコの略奪、打ちこわしの主犯は
若い出稼ぎ労働者たちであった。
彼らの暴力は、日本がにくいのではなく、
ジャスコに買い物に行くようなプチブル層への憎悪と、
今の自分達の置かれている境遇への不満の爆発であったと
私はこれまでの取材で理解している。
そうだったのか、スマート族！
でも、上記のスマホの映像にビジュアル系の人
いないんですけど…。？？？
いずれにせよ不満の溜まった若い農民工の仕業
というのは理解できます。
（あとは党の回し者とかバイトとか）
農民工をありえねーダイレクトさで描いた
名作『ミラクル7号』（チャウ・シンチー監督、2008年）
第3章 政治から言葉を開放した日本文学
については、
なんだかんだ深い話になってしまうのでまたの機会に。
第4章 文化侵略か、文化開放か、進撃のサブカルチャー
p.243
萌えで世界征服か？ 「日本鬼子事件」
…2010年の尖閣諸島海域漁船衝突事件以降、
中国人ネットユーザーが「日本鬼子」という
蔑称を使って日本人ネットユーザーに向かって
罵倒することが増えたとき、
日本人ネットユーザーたちが「日本鬼子」を萌えキャラにして、
蔑称のイメージを上書きしてやろうと呼びかけたという。
その呼びかけに応じて、中国のネット上では
「日本鬼子」という名前の日本を擬人化した
美少女キャラ絵があふれだし、中国人ネットユーザーを
当惑させた。
…「萌えで世界征服」というのは苦笑させられるが、
日本のサブカルチャーがイデオロギーや政治的立場の対立から来る
緊張を一瞬にして萎えさせれしまう力があるという気はする。
これは、なんとなく知ってたけど…。
威力あるのかな？ あるならもっと頑張って欲しい。
曲としては初音ミクオリジナル版よりこっちが好きかな。
中国語訳付きってのが、いいけど、中国語で歌ってほしいね。
これもいい。
結論としては文化交流は極めて大事。
それとは別に、政治は政治、人は人ということで。
分けて考えるべきかと思います。
因みに香港映画界も反日運動と絡めて
政治の踏み絵を強要され散々な目にあってはいます。
ドニーさんも、ウェイボー（中国のツイッター）に
「九段線を守れ」とアップしたとか、
（多分有名人はそうしとかないとバッシングされるのでしょう）
「尖閣は中国のものだ」と藤原紀香に言ったとか
書かれていますが、
よ～く元記事を読むと、華麗にスルーしているんです。
要は政治に関わりたくない。
「本人は渋谷の味噌ラーメン好きな人なんで」
（谷垣健治氏による）
三港男搶攻內地百花獎 舒淇惡鬥周迅、趙薇爭影后 | 蘋果日報 | 娛樂 | 20100921
島は島でもラマ島のことだよ〜ん！
『レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳』
の記者会見におけるドニー・イェン。
尖閣の質問され
「あの島は僕達のもの」と
一旦答えつつも、
「ラーマートウアー！」
（ラマ島のことだよ〜ん！）
「歴史は歴史、真実は真実」
（↑要は何も言っていない。香港スターの得意技）
と笑顔で逃げる、素敵な兄貴。
（ちなみにラマ島とは香港にある小さな島です。
あの、チョウ・ユンファの故郷。いいところですよ）
最後に
この本で得た結論：
中国人が日本をすごく好きになったり、
逆に反日行動に出る背景には、
自由な表現や平等を求める運動を抑圧する
共産党政権への不満をストレートに表現することが
できない事実があることを知れ！
（わたしだってネットとかすべて監視されている
共産党政権下では怖くてこんなブログも書けません）
一種当て付け的な。
最後の最後に、
母親専用掲示板「広州ママ」の書き込みから。
p.100
「（ジャスコで買い物をすると売国奴だという人がいるけれど）
ジャスコの10元均一商品を買ったら、誰が傷つくというの？
物価が馬鹿みたいに上がって、小市民の生活は圧迫されて
いるのやお。30〜40元するベビー服が10元で変えるのよ。
愛国の本土企業が同じことできる？
ナントカ島（尖閣諸島のこと）なんて私には関係ないわ。
ただ子供にきちんとした服を着せたいし、
毒入りミルクを飲ませたくない。
買い物から帰ってみたら、自分の家が（土地の強制収容のために）
撤去されているんじゃないか、なんて心配をしたくない。
会社が8000万人もいる利益集団（中国共産党のこと）が
私たち庶民に実用的なことをしてくれて、私たちのことを
尊重してくれるようになってからら愛国を説くなら、
聞いてあげるわ！」
